美ヶ原温泉「追分屋旅館」
両親を招待したときに好評だった美ヶ原温泉「追分屋旅館」に名古屋の親戚と一緒に宿泊してきました。1泊1万円前後のお手頃価格でありながらその時折の季節料理が美味しいと噂の旅館である。数寄屋風の旅館に到着した疲れた旅人を「椎茸茶」で迎えてくれる。
旅館の中庭には足湯がある。二人仲寄せ合いながら足を浸けるのに丁度良い大きさの桶にこんこんと湯が掛け流されている。しかも、朝食後にはコーヒーのサービスがあり、朝の涼しい空気の中、中庭を眺め足湯に座りながらコーヒーを飲むのは何とも乙なものである。
さて、足湯のある中庭を経由して続く道の奥にはなんと露天風呂付き離れ「湯らく亭」がある。美ヶ原温泉街から少しはなれた場所にある「追分屋旅館」の外観からは露天風呂付き離れがあるとは想像もつかない。さらに6種類の湯船とお土産売場、そして何とダイニングバー「柊」まで併設しているとは全くもって想像もつかない。敷地を隙間なく、そして緻密な計算のもとにレイアウトされた純和風モダン漂う旅館内の雰囲気には驚くばかりである。
「太古の虹」と題されたアジア古木の癒し露天風呂は6種類の湯船の中で一番開放感が味わえる。が本来この湯船は夜入るべきである。何故、「虹」なのかはあとで説明しよう。
露天檜風呂は内湯に続いて2番目に広い湯船となっている。しかし周りは壁で囲まれ「太古の虹」ほどの開放感はない。よくある天井だけ露天風呂ってやつであるが、清潔感漂うなかに立派な湯口と宿灯篭の明かりが落ち着いた雰囲気を醸し出している。
黒御影座敷風呂の内湯である。湯船も脱衣所も一番広いだけあって大勢で入っても窮屈にはならない。なんと窓際には浅瀬があり寝風呂ができるのもポイントが高い。が窓際で寝転がっているといかにも景色を汚しかねないので大勢いるときは遠慮しよう。
岩露天風呂は1300年の歴史を持つ源泉を使用している別名「白糸の湯」
である。確かに他の湯船に比べツルツルし泉質が良いのが肌で実感できる。しかし、湯船があまりに狭すぎて定員1名なうえに露天風呂とは言えない窮屈さにはちょっと勘弁してほしい。
蔵風呂という「なまこ壁」をあしらった内湯であるが、この湯船だけは失敗だと思う。「なまこ壁」は蔵の外壁であり、内壁に使うものではないので、何とも言えない圧迫感があって気分が落ち着かない。次に改築するなら蔵風呂を何とかしてもらいたい。あと脱衣所も狭すぎる…
さて、先ほどのアジア古木の癒し露天風呂「太古の虹」は夜になると湯船が赤や黄色、緑色など虹色に変化するのです。今までいろいろな露天風呂に入ってきましたが、光を放つ湯船は初めてです。泉質にこだわる湯船もあり、雰囲気にこだわる湯船もある、一方で演出にこだわる湯船もある。6種類も湯船があればその楽しみ方も6種類あっていいのです。素晴らしい眺望はないけれど、それを補うに足りる幻想的な演出がこの露天風呂を素晴らしいものにしていると思う。
岩露天風呂以外はあまり泉質は期待しないほうがよい。泉質を期待するなら近くにある公共浴場「白糸の湯」の方が遥かに良い。純和風旅館の雰囲気と美味しい季節料理にきめ細かなサービスをこの価格で総合すると大満足のいく旅館であった。



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